公開日:2017/08/02

補聴器Q&A 補聴器普及の状況について

今回は太陽めがねも扱っている補聴器についてちょっと書いてみようと思います。
ちなみに、太陽めがねは金沢市北部のお店では唯一の認定補聴器技能者のいるお店です(H29.7現在)

日本には聴力が低下した人が約2000万人いると言われています。しかし、そのうちで補聴器を使用している人の割合は多くはありません。
今回は、世界や日本での補聴器普及の状況についてちょっと調べてみました。

[難聴者率・難聴もしくはおそらく難聴だと思っている人の割合(自己申告)]は
日本:11.3%(国内推計約1430万人※)
イギリス:9.7%、ドイツ:12.1%、フランス:9.3%、アメリカ:10.6% ※
となっています。
この表でわかるのは、74歳以上の方になると4割以上の方が自分自身で「ちょっと耳が遠くなってきたかな・・」と自覚が出てくるという事ですね。
逆にこの下の年代65~74歳までは一気に下がり2割以下に、実際には65~70歳と、70歳~74歳では大きな差があるかもしれません・・

では、そこで実際に補聴器を使用しているかを調べてみると・・
[補聴器使用率]
日本:13.5%(国内推計約200万人※)
イギリス:42.4%、ドイツ:34.9%、フランス:34.1%、アメリカ:30.2% ※
となっています。
※難聴者及び補聴器使用者の国内推計人数は、総務省統計局発表の2015年3月1日現在の総人口(確定値)1億2689万人に、今回のアンケート結果の率を乗じて10万人単位で四捨五入したものです。ここでは所有率を使用率と考えます

「難聴者率」には大差は無いものの、「難聴者の補聴器使用率」では日本の補聴器使用率は13.5%で、欧米諸国と比較してかなり低くなっています。欧米諸国の使用率の高さは、公的な手厚い支援が大きく影響していますが、その点を差し引いても、日本の難聴者の補聴器潜在需要の高さを示していると思われます。

そうは言っても、近年補聴器の出荷台数は増えてきています。
日本補聴器工業会のデータでは日本の補聴器出荷台数は
2011年 488704台
2012年 519131台 と50万台を超えた後、
2015年 562284台
2016年 561557台
と増えています。
ここで「ん?」と思った方。所有率は下がっているのに出荷台数は増えているのは?
実は、近年補聴器の両耳装用比率が上がっております。その為出荷台数は増えていると考えられます。

日本において補聴器の普及率が低いことについては、いくつかの理由が考えられます。
まず、聴力低下や難聴という障害の持つ特徴があります。視力と比べ、聴力の低下は自覚しにくく、ゆっくりと進行することが多い上に、健康診断などでも、はっきりと数値で聴力を示されることはありません。そのため、周りの人は心配していても、本人はまったく気付いていなかったり、少しは気になっていても「まだまだ大丈夫」と思っていることが多いのです。
本人が聴力の低下を自覚していない場合は、聴力低下や難聴の解決策としての補聴器というものを意識するようにはなりません。また、本人が聴力の低下を自覚しても、すべての人がすぐにその解決方法として補聴器を検討するようになる訳ではありません。ある調査によると、難聴であることを自覚した人が補聴器を使うようになるまでに7年かかるそうです。

それはなぜでしょうか。まず、多くの人が補聴器のことを良く知らない、正しく理解していないということがあげられます。私たちが日常生活で補聴器を目にする機会はほとんどありません。また、補聴器販売店を街で見かけたという記憶がある人も少ないと思います。補聴器についての情報に触れることもまずないはずです。つまり、ほとんどの人にとって補聴器は「自分には関係のないもの」という存在になっています。ですから、難聴を自覚して初めて補聴器というものの存在を意識するようになっても、補聴器について予備知識や理解がないために、使用するようになるまでに時間がかかってしまいます。
また、補聴器というものについて多くの人が抱いているイメージの問題があります。多くの人たちは、補聴器に対して「年寄りくさい」「補装具のイメージ」といったようなネガティブなイメージを抱いています。補聴器を使用することは自分が年を取ったのを認めることになるという意識が働くために、補聴器の使用をためらう人が多いようです。
また、補聴器の外見や性能についての先入観が障害になっているという点も見逃せません。「補聴器をつけていると目立つ」「肌色で年寄りくさくて地味」という過去の補聴器の外見上のイメージを現在も抱いている人や、「補聴器は雑音がうるさくてあまり役に立たない」といった人づての話を信用している人も少なくありません。
そうした補聴器についての意識の問題だけでなく、日本においての補聴器供給のシステムが海外のように整備されていないという点も日本の普及率が上がらない大きな要因であるということができます。
日本において、補聴器の公的助成を受けられるのは、両耳の聴力レベルがそれぞれ平均70デシベル以上とされているのに対し、デンマークなど欧米では、40デシベル以上から助成が受けられるといったように、欧米では、軽度の難聴であっても補聴器が支給されるシステムができています。

ちょっと今回は堅いお話になりましたが、まずは補聴器普及の状況についてでした。

参考資料:ワイデックスミみみから、日本補聴器工業会、“Source: Anovum – JapanTrak 2015”

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